コーヒー豆の種類と言えば、アラビカ種やロブスタ種がよく知られていますよね。
でも、あまり聞き慣れない「リベリカ種」について知っていますか?リベリカ種は僅か1%しか流通していない幻のコーヒー豆です。
この魅力的なリベリカ種について詳しく紹介していきます!
コーヒー三大原種の一つの幻のコーヒー
リベリカ種(Liberica)は、コーヒーの品種のひとつですが、一般的なコーヒーショップで見つけることができるコーヒー豆とは異なります。
コーヒーの原種であるアラビカ種やロブスタ種と並んで三大原種の一つとされていますが、生産量は全世界のコーヒー生産量のわずか1%以下と少ないため、幻のコーヒーといわれています。
- コーヒー三大原種とは?
品種の改良が行われていない元から存在していた品種。
コーヒーの原種は三種類存在しています。(アラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種)
全てのコーヒー豆は、これらの交配や改良で生まれています。
リベリカ種の見た目と形状
リベリカ種の豆は他の種類と比べて大きく、その大きさは一般的なコーヒー豆の1.5倍から2倍にもなります。
形状も他の種とは違っており、楕円形で平らな面があるのが特徴的です。
リベリカ種の起源と名前の由来
リベリカ種の名前は、コーヒーの原産地とされるアフリカのリベリアという国が由来です。ここで自然に生えていたコーヒーが、19世紀にヨーロッパへ持ち帰られ、広まったのが始まりとされています。
リベリカ種のコーヒーの味
苦みが強く野性的
リベリカ種の味を一言で表すと「苦味が強い」です。まるで、ロブスタ種のコーヒーをストレートで飲んだようなイメージがあります。また、今まで飲んだことのない野性的な風味を感じます。
ミルク等でマイルドに仕立てるのも良く合います。
ウッディでスパイシー
リベリカ種の一部は、ウッディーな味わいやスパイシーな香りを持っています。これは他の主要なコーヒー豆種にはない特徴であり、そのエキゾチックさが評価されることが多いです。
普通のコーヒーと比べて
香り:
リベリカ種のコーヒーは、アラビカ種に比べて香りが弱いとされます。その香りは土っぽい、ウッディな、または野性的なところがあります。甘み:
アラビカ種が自然に持つ甘みは、リベリカ種にはあまり見られません。リベリカ種のコーヒーは一般的に苦味が強く、甘味はほとんどありません。酸味:
酸味についても、リベリカ種はアラビカ種ほど酸味が強くありません。酸味はコーヒーの複雑性や明瞭さを増加させますが、リベリカ種はこれらの要素が少なめです。コク:
リベリカ種のコーヒーは一般的にボディ感が薄く、他のコーヒー種と比較してコクや深みが少ないとされます。
ここで比較しているアラビカ種とは、一般的に飲まれているコーヒーの品種です。
初めてリベリカ種を飲む方へのアドバイス
リベリカ種は、一般的には「美味しい」と評価されていません。しかし、その原因はリベリカ種の特性と、私たちが「美味しいコーヒー」と認識する一般的な基準のズレにあると言えます。
リベリカ種の味わいは、その独特の風味から他の種類とは一線を画しています。その味わいは確かに苦みが強く、酸味や甘味が弱いことが特徴です。一部の人々は、その味わいを「土臭さ」や「ウッディな風味」に例えることもあります。これは、他の種類のコーヒーに比べてリベリカ種が持つ特異な風味が強調されるためです。
また、一般的にコーヒーが美味しいとされる要素は、その酸味や甘味、バランスの良い味わいなどがあります。これらは特にアラビカ種のコーヒーでよく見られる特性で、これが一般的な「美味しいコーヒー」の基準となっています。しかし、リベリカ種はこれらの特性をあまり持っていないため、一般的な美味しさの基準からは外れやすいと言えます。
しかし、リベリカ種が他の種類とは異なる味わいを持つことは、それが「美味しくない」という意味ではありません。その独特な風味は、新しい味の探求を楽しむコーヒー愛好家や、独特な風味を追求するバリスタにとっては非常に魅力的です。
初めて飲む際は先入観を無くして、「今まで飲んだコーヒーとは違うコーヒー」として楽しんでみてください。きっとその魅力を堪能することが出来るでしょう。
リベリカ種のコーヒーの栽培について
リベリカ種の栽培環境
リベリカ種のコーヒーツリーは高温と湿度の高い環境を好むため、一般的には熱帯地方での栽培が主流です。
特に東南アジアの一部地域、例えばフィリピンやマレーシアでは、その風味が評価されて大切に栽培されています。
平地でも栽培できる育てやすい品種
リベリカ種は、標高200m以下の平地でも栽培できる性質を持っています。
アラビカ種は、標高1,000以上という条件に加え、気温や雨量などの環境が必要です。また、カネフォラ種(≒ロブスタ種)は標高1,000m以下で栽培可能ですが、リベリカ種ほど容易ではありません。
栽培環境だけで見れば育てやすい品種という事が分かります。
手間がかかるが収穫量がすくない
アラビカ種やロブスタ種と比べ、1本の木から収穫できる量が少ないです。
また、収穫できるまでの時間も長く、樹木が大きい事から収穫も大変です。
また、リベリカ種は他のコーヒー種とくらべ病害に強いですが、サビ病への耐性は完全ではありません。要するに、「育てる手間がかかるのに収穫率が悪い」ということです。
そのため、大規模に栽培されることはほとんどありません。
リベリカ種の成長周期と収穫
リベリカ種のコーヒーツリーは、種から植えてから約3〜4年後に初めて実をつけます。
その後も継続的に豆を生産し続けますが、豆の大きさからもわかるように、一つ一つの豆には時間とエネルギーを必要とします。これらの実は通常、手作業で収穫されます。大量生産が難しいため、一つ一つの豆は農家の手間と愛情が詰まっているとも言えます。
リベリカ種の栽培者への支援
リベリカ種のコーヒーは、その特異な風味と限られた生産量から、特別な存在として認識されています。そのため、リベリカ種を栽培する農家は、豆の品質を確保し、持続可能な栽培方法を探求するための支援を受けることがあります。
その結果、リベリカ種のコーヒーは、消費者だけでなく、生産者にとっても価値のある商品となっています。
リベリカ種のコーヒー豆を買うには?
リベリカ種の流通量は全体の1%といわれています。その為、手に入れるのは少し苦労するかもしれません。
ここでは、リベリカ種のコーヒー豆を購入する方法を紹介します。
マレーシア・リベリカ
最近では、マレーシア産のリベリカ種が購入できるネット通販が増えてきています。「エレファント」という名称でも販売されているようです。
マレーシア独特な焙煎方法
マレーシアでは独特なコーヒー文化「コピ」が存在します。コピは、コーヒー豆を焙煎した後に、マーガリンと砂糖で再度焙煎することで特有の香りと風味を出します。
オススメの飲み方
マレーシアでは通常、コンデンスミルクと砂糖を加えて甘くして飲むことが一般的です。底に甘いコンデンスミルクが溜まるので、かき混ぜ具合で甘さをコントロールして飲んでください。
バラココーヒー
フィリピン産のリベリカ種もネット通販で購入できます。「バラココーヒー」という名称で流通しています。
おすすめの飲み方
バラココーヒーは、その強い風味と芳香で知られています。一般的にはブラックで飲まれますが、甘みを足すために砂糖やミルクを加えることもあります。
リベリカ種の歴史
原産地と初期の歴史
リベリカ種のコーヒーは、その名前が示す通り、リベリアという西アフリカの国が原産地です。初めてこの種が認知されたのは、19世紀の終わりごろで、その豊満な果実と独特な風味から、すぐに人々の間で注目を集めました。
コーヒーの病害とリベリカ種の重要性
19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界のコーヒー産業は、コーヒーの病害である「さび病」(コーヒーリーフラスト病)によって大きな打撃を受けました。
この病害はアラビカ種のコーヒーに大きな被害を及ぼしましたが、リベリカ種はこの病気に強い耐性を持っていました。そのため、多くのコーヒー産地でリベリカ種への置き換えが行われました。
当時、リベリカ種は粒が大きく見栄えがいいため高く売れると人気の品種でした。
ロブスタ種の登場とリベリカ種の衰退
しかし、20世紀の初めになると、病害に強い新種「ロブスタ」が開発されました。ロブスタ種はリベリカ種よりも栽培が容易で、さらに豊富な収穫量を誇りました。また、新種のサビ病が出現し、リベリカ種はサビ病への耐性が不完全であると評価されました。
このため、徐々にリベリカ種のコーヒーが農場から追い出され、その栽培は大幅に減少しました。
リベリカ種の現在
現在、リベリカ種のコーヒーは、その特異な風味と歴史的な背景から、コーヒー愛好家の間で再評価されています。
特に、フィリピン、マレーシアなどの一部の国では、リベリカ種のコーヒーが重要な地位を保っています。その独特な風味とストーリーが評価され、少量ながらも高品質な豆が世界中で楽しまれています。
リベリカ種の未来
リベリカ種のコーヒーは、その大きな果実と独特な風味から、「コーヒーの貴婦人」とも称されています。今後、その独特な風味と豊かな歴史が更に認知されることで、リベリカ種のコーヒーは新たなブームを引き起こすかもしれません。それがリベリカ種の未来です。
リベリカ種は現状、あまり美味しくないコーヒーと評価されています。しかし近年、リベリカ種をより良くしようという研究活動が起きているため、今後に期待です。
リベリカ種に関する
よくある質問
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Q リベリカ種のコーヒーとアラビカ種やロブスタ種との主な違いは何ですか?
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A
リベリカ種のコーヒーは、その大きな豆と果実、そして独特な風味が特徴です。
アラビカ種は甘みと酸味があり、細やかな味わいが特徴ですが、リベリカ種は苦みが強く、甘み・酸味・コクが弱いです。そして独特なスパイシーでウッディな香りを持っています。ロブスタ種は強い苦味とフルボディの味わいが特徴です。
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Q リベリカ種はどのように栽培されますか?
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A
リベリカ種はその生育条件が特異で、温暖で湿度の高い環境を好みます。
また、海抜の高い地域でよく育ち、良好な排水設備が必要となります。その大きなサイズのため、他の種と比べて栽培スペースが必要で、手間と時間がかかります。
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Q リベリカ種のコーヒーはどのようにして飲むのが良いですか?
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A
リベリカ種のコーヒーは、その独特な風味を十分に楽しむために、フレンチプレスやドリップなどの方法でゆっくりと淹れるのがおすすめです。また、豆を挽く直前に挽くことで、フレッシュな風味を保つことができます。
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Q リベリカ種のコーヒー豆を買うにはどこがおすすめですか?
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A
リベリカ種のコーヒー豆は特殊なものなので、一般的なスーパーマーケットではなかなか見つけられません。専門のコーヒーショップやインターネット上の専門店で探すと良いでしょう。豆の質や焙煎の度合いなど、自分の好みに合ったものを見つけることが大切です。
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Q リベリカ種のコーヒーの歴史はどのようなものですか?
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A
リベリカ種のコーヒーは19世紀の終わりから認知され、その後コーヒーの病害である「さび病」(コーヒーリーフラスト病)の流行により一時的に広く栽培されました。
しかし、20世紀初頭に登場したロブスタ種に取って代わられ、その栽培は大幅に減少しました。現在では一部の地域やコーヒー愛好家の間で再評価され、その独特な風味が楽しまれています。